メンタルヘルスのための職場環境改善は重要な取組みです。しかしながら、職場環境改善はメンタルヘルスだけを考えるのではなく、組織目標達成(例えば生産性向上)のための職場環境改善、組織運営(例えば人材育成)のための職場環境改善、といったように職場環境の全体を捉えることが、結果としてメンタルヘルスの対策になります。

生産性向上の取組みといえば、業務の自動化や専門スキルアップの教育を思い浮かべてしまいますが、組織心理学に目を向けると新たな気づきがありました。

「人間は本来持っている能力を最大限に発揮することを望んでおり、そのためには、組織の意思決定に参加できることが必要である。(リッカート)」

また、「ホーソン工場実験では、作業環境や労働条件よりも人間関係が作業能率に影響するという発見がされた。(メイヨー)」

現場感覚として、意思決定参加、人間関係改善が生産性向上に影響を及ぼすことは納得できます。実際の職場環境はどうでしょうか。

意思決定参加のハードルを意識的に低くしているマネジャー、人間関係への配慮を大切にしているマネジャーは確かにいます。

一方で、意思決定参加のハードルを意識的に高くしているマネジャー、一部のストレッサーが人間関係を悪化させている職場、それを許容しているマネジャーもいます。

現場のマネジャーに意思決定参加、人間関係改善を委ねるのではなく、職場環境改善の取組みにするのが良いのではないでしょうか。

職場は人の集まり、生産性向上もメンタルヘルス対策も人間がやること、組織心理学にメンタルヘルスも含む職場環境改善のヒントがありそうです。

株式会社ストレスマネジメント実践研究所 北尾一郎
<うつ病のない日本の職場を目指して、プロジェクトの職場環境改善に貢献します>