前回のストケンブログでは『人格や人間性を否定するような言動』をパワハラだと理解するのが良い。暴行は論外。と述べました。

やってはいけないとわかっていても実際の現場では『人格や人間性を否定するような言動』により部下の心を傷つけているかもしれません。

やってはいけないことをやらないためにはトレーニングが必要です。どのようにトレーニングすればよいかを感情、認知(理解考え感じ方)、行動の3つの視点で紹介したいと思います。

1.あんな事を言わなかったらよかった。。。

「うそは聞きたくない、期待していない、他の人にやらせるからもういい、絶望、もうなにもしないでくれ。」

こんなひどい事を口にしたことはないでしょうか。考えて言ったのではなく、怒りの感情に任せて(感情をコントロールできずに)言ってしまったのではないでしょうか。

このような怒りの感情の時は口を開かない。まず、深呼吸、そして、この怒りは100点満点中の何点なのか、頭の中で答えを出す。それまで口を開かないことです。

深呼吸と点数を決めるプロセスにより怒りの感情を認知へシフトして怒りの感情のピークが過ぎ去る数秒を稼ぐ。この数秒で口にする内容は変わってきます。

2.業務指導の履き違え

「うそは聞きたくない、期待していない、他の人にやらせるからもういい、絶望、もうなにもしないでくれ。」を業務指導の範囲内という考えで口にするとしたら、認知の歪みを変えなければなりません。

その手段は、

パワハラ裁判例や「業務による心理的負荷評価表」を勉強することで、認知の歪みに気づき是正されるかもしれません。

また、『人格や人間性を否定するような言動』の業務指導と、別方法の業務指導(例えば、話を良く聴いて、一緒に原因を見つけ解決する)のどちらが相手に響くのかを、双方の利点と欠点を紙に書いて客観視することで認知の歪みに気づき是正されるかもしれません。

3.職場内の劣位の人に向けるライカビリティ

『人格や人間性を否定するような言動』かどうかは、双方の人間関係が影響します。

人間関係を良くする方法として、ライカビリティ(好感度)を高めることが言われています。

ライカビリティを高める行動は、名前を入れた挨拶、時間には絶対に遅れるなよ。ではなく、時間通りにきて欲しい。のようなポジティブな表現、相手を認める習慣などです。

このようなライカビリティを高める行動を日常的に職場内の劣位の人に向けて良好な人間関係ができていると『人格や人間性を否定するような言動』であっても、『人格や人間性を否定するような言動』にならないかもしれません。

株式会社ストレスマネジメント実践研究所 北尾一郎 <うつ病のない日本の職場を目指して、プロジェクトのストレスマネジメントによるメンタルヘルス不調の未然防止に貢献します>