うつ病に悩まされている人が後を絶たない。

厚生労働省が3年ごとに全国の医療施設に対して行っている「患者調査」によれば2014年時点で、うつ病を含む気分障害で医療機関を受診している患者数は111万人と3年前から約16%も増えています。

また、うつ病は日本、中国、韓国など東アジア圏に多くみられ、欧米諸国の約3倍という説があります。東アジアの文化は集団主義的で抑圧的であるのに対して、欧米文化は自由で開放的であるため、という解釈です。また最近は文化的な違いよりも、そもそも遺伝的なものだという説もあります。(出展:東洋経済)

日本人の遺伝的なものには心配性もあるそうです。日本人が「事前の準備」を大切にするのは心配性だからですかね。また、「トヨタのカイゼン」は変更リスクを徹底的に排除することがベース。これも心配性の日本人だからなせる業ですね。

また、心配性の日本人は「他者の承認」を必要以上に気にします。集団主義的で抑圧的な日本人は「他者の承認」がないと不安なのかもしれません。このことも、日本人にうつ病が多い原因のひとつだと思います。

プロジェクトマネジャーは、プロジェクトの進捗、課題、対応はタイムリーに報告しますが、プロジェクトメンバーひとり一人の活躍について、日々の活動の中で報告したり、本人に伝えること(承認)はあまりないように思います。

一方で、プロジェクトメンバーは、ひとり一人に対するプロジェクトマネジャーの承認を必要としているため、プロジェクトマネジャーはこの事を理解した上でなんとかしたいところです。

現場の一例としては、プロジェクトメンバーのひとり一人が毎月日程表(縦軸はタスク、横軸は一日単位1ヶ月のフォーマットにその月の業務内容と計画、その計画を達成するのに必要な残業時間、休暇予定)を作成して、月初めにその毎月日程表をプロジェクトマネジャーとプロジェクトメンバーが納得するまで十分話し合って目標を設定する。今月の目標設定だけでなく、前月の目標に実績も足された毎月日程表をプロジェクトマネジャーとプロジェクトメンバーが確認する。この話し合いをプロジェクトマネジャーの「承認の場」にするのはどうでしょうか。

そして、承認の内容は、予定に対する結果だけではなく、例えば、関係部門との交渉に苦労しながらやり遂げたプロセスや、遅れている人の助っ人を優先したため今は3日遅れているけど1ヶ月後にはオンスケジュールにすべく残業する計画とか、逆に設計手戻りで遅れた時に問題発生のアラームをタイムリーに手をあげてチーム全体で致命傷にしなかった判断など、「本人の考えやマインドを承認」するのが良いと思います。

株式会社ストレスマネジメント実践研究所 北尾一郎
<うつ病のない日本の職場を目指して、プロジェクトの職場環境改善に貢献します>