PMI(Project Management Institute)日本支部主催の3月度月例セミナーに参加しました。その中で、「Plan:目標の構造化」についての話もあり、職場のメンタルヘルスをこれに当てはめると、どうなるかなと考えました。

1.方向目標(何をすべきかの方向性を決める)
2.成果目標(達成された成果を決める)
3.プロセス目標(成果までの途中で何をすべきかの行動を決める)

1.方向目標については、国レベルの「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」にメンタルヘルスも含まれています。労災の「業務による心理的負荷評価表」が示されています。そして、メンタルヘルス不調の未然防止を目的とする「ストレスチェック制度」の施行と、何をすべきかの方向性は計画的に具体化されていると思います。

企業レベルの方向目標は、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場割合が33.6%(H19)→47.2(H24)と前進(出展:厚生労働省)していること、具体的な取組み内容で最も多いのが「管理監督者への教育研修・情報提供」であることから、企業レベルの方向目標も妥当だと思います。

2.成果目標も、自殺者やうつ病など気分障害患者数のみならず、「強い不安、悩み、ストレスがある労働者」も含まれており、現場の実態を示すメンタルヘルスの成果目標だと思います。  

3.プロセス目標は、成果までの途中で何をすべきかの行動を決めるものですが、メンタルヘルスの目標構造化では、このプロセス目標が弱いように思います。そのため、「強い不安、悩み、ストレスがある労働者」が減少していないのかもしれません。58.0%(H19)→60.9%(H24)。

「強い不安、悩み、ストレスの原因である職場の人間関係、仕事の質、仕事の量の問題を改善するために何をすべきかの具体的な行動を決める。」このプロセス目標を設定できるかどうかが職場のメンタルヘルス(職場環境改善)のポイントですね。

ちなみに、前述のPMI(Project Management Institute)日本支部主催の3月度月例セミナーでも、プロジェクト成功の落とし穴は、プロセス目標にあると言ってました。方向目標や成果目標までで安心してしまい、本当は一番難しい現場のプロセス目標を油断してしまうところはプロジェクトの成功も職場のメンタルヘルスも同じかもしれません。

プロジェクトのプロセス目標設定をプロジェクトマネジャーに丸投げするのではなく、プロジェクトメンバーや上司を含むステークホルダが協力するように、

職場メンタルヘルスのプロセス目標設定も管理監督者に丸投げするのではなく、専門家を含む職場の総力で「強い不安、悩み、ストレスの原因である職場の人間関係、仕事の質、仕事の量の問題を改善するために何をすべきかの行動を決める。」を具体的な計画にしないといけませんね。

株式会社ストレスマネジメント実践研究所 北尾一郎
<うつ病のない日本の職場を目指して、プロジェクトの職場環境改善に貢献します>