ストレスチェックの結果を職場ごとに集団分析することは、ストレスチェック制度の努力義務になっています。

努力義務ですが、集団分析を上手く活用して職場環境を改善してほしいと思っています。

「仕事のストレス判定図」を使った集団分析は、4つのストレス要因それぞれにその職場が全国平均値と比べてどうなのかを知る事ができます。

<4つのストレス要因>
・仕事の量的負担(全国平均:8.7)
・仕事のコントロール(全国平均:7.9)
・上司の支援(全国平均:7.5)
・同僚の支援(全国平均:8.1)

ここまでは、実施者(医師、看護師など)がやってくれますが、この集団分析結果をどのように解釈し、どのように職場環境を変えていくかは職場の管理監督者の役割です。

中災防の職場環境セミナーに参加しましたが、その時も参加者それぞれに集団分析結果の解釈、職場環境の改善アイデアがありました。まさに、管理監督者ひとり一人の職場ストレスマネジメントが問われているように思います。

以下の事例をあなたはどのように解釈し、職場環境に取組みますか。

□Web系のシステム開発チーム
□顧客からの仕様変更が頻繁。でも納期は決まっており、毎月70時間前後の長時間残業があたりまえ。
□仕事は個別に任されているので会話は少ない。
□ひとり一人の仕事に対する意識は高い
□頭痛、睡眠障害の体調不良を訴える人が増えている

□ストレスチェックの集団分析結果
・仕事の量的負担・・・11.0(全国平均:8.7)
・仕事のコントロール・・・8.1(全国平均:7.9)
・上司の支援・・・7.7(全国平均:7.5)
・同僚の支援・・・7.9(全国平均:8.1)
・総合健康リスク・・・122(全校平均100)

私なら次のような解釈と職場環境改善をします。

仕事のコントロール、同僚の支援はこんなもの。現状維持のまま。

上司の支援は全国平均より少し上だから良いというわけではない。仕事の量的負担とバランスを取るように、上司の支援は+2を意識して改善。

まず、仕事の量的負担を減らす上司の支援。(ここでの上司はPMの上司のこと。PMの負担を増やさない様に)

仕事の量的負担は数値は悪いが、残業時間は劣悪とはいえない。体調不良を訴える人が増えていることから疲労が蓄積されていると考えられる。一人が倒れると、残った人の負担が増えて、また倒れる負の連鎖になるので、今すぐリソース強化。この手の業務は頭数ではないので、高額優秀なリソースを一人でも確保してまずは睡眠障害者の負担軽減。一方で、誰でも出来る仕事を引き受ける癒しのリソースを一人でも確保。チーム全体に大事にされている実感をもたせる。

次に、顧客からの仕様変更に対する上司の支援。

顧客へこちらの本気度、困り具合を伝えるために上司の出番。きっと上司も忙しい。でも、上司のさらなる上司へのレポートなどはPMO(project management office)を活用するなどして時間を確保する。困っている部下のために仕事をする。

そして、職場ライカビリティ(好感度)に対する上司の支援。

職場の上司が一番多く挨拶、声かけ、話を聴く。職場を明るくするのが上司の仕事。いつも忙しくしていて、話しかけるなオーラ満載の上司ほど、強く意識して職場ライカビリティ(好感度)を頑張る。

これだけ上司の支援をやったら仕事量が多くても健康リスクは100以下の正常値になると思う。

株式会社ストレスマネジメント実践研究所 北尾一郎
<うつ病のない日本の職場を目指して、プロジェクト成功と職場メンタルヘルスの両立に貢献します>